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こちら、ぐっすり研究部#6|睡眠環境を整えよう<掛け布団・お手入れ編>

睡眠は日常生活、健康、そして美しくあるための土台。オルビスは、睡眠のことをそう考えています。

そこでオルビス編集部では、「睡眠の質を上げていこう!」 を合言葉に、「ぐっすり研究部」を立ち上げました。毎回、睡眠の専門家を訪ねて、快眠の条件や不眠、日中の過ごし方など、さまざまな角度から睡眠を考えていきます。

最終回となる第6回は、前回に引き続き寝具メーカー・東京西川のスリープマスター、速水美智子さんが指南役。寝具のお手入れや心地良い睡眠環境の整え方について、お話を伺います。

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寝具も、季節に合わせて衣替えを

――季節の変わり目などは特に布団の替え時が分からず風邪をひいたりしてしまいます。季節ごとの寝具選びのポイントを教えてください。

年間を通して「寝床内気象」を適切に保つようにすれば、どの季節も快適に眠れるようになりますよ。

寝床内気象とは、お布団の中、つまり敷き布団と掛け布団の間にできる空間の温度・湿度のことで、温度32~34度、湿度45~55%が理想とされています。この理想の状態を保つために、季節や室温に合わせて寝具を選ぶことが大切なんです。

寝床内気象を調整するのは、主に掛け布団の役割。寝具を選ぶ際は、寝室の温度を目安にするといいでしょう。例えば、25度を超えたら、タオルケット、冷感パッドシーツなど夏用の寝具を、25度前後では薄手の羽毛ふとんやブランケットで調整しましょう。15〜25度前後になったら羽毛布団、さらに10度を下回ったら羽毛布団に毛布を合わせて、しっかり保温できるものを選ぶことがポイントです。

服と同じように、寝具も季節に合わせて衣替えすると考えるといいですね。

――寝床内気象を調整できるように、掛け布団はいろいろな種類をそろえた方がいいんですよね?

住環境などにもよりますが、羽毛掛け布団と毛布、タオルケットなどを、季節に合わせて組み合わせることで、年間を通して快適に過ごせますよ。

また、素材選びと「掛ける順番」も大切です。

羽毛やウール、カシミヤなどの天然素材は、温度・湿度の調整機能に優れているので、冬は温かく、夏は涼しく爽やかに布団の中を保ってくれますよ。
羽毛布団と毛布を掛ける順番は、毛布の素材によって違うことも覚えておきましょう。天然素材の毛布は、羽毛布団の内側に入れます。特にウールやカシミヤなど動物繊維を使用した毛布は、寝ている間にかいた汗を吸収発散し、しかも、吸収した水分を熱に変え布団の中を温めてくれるんです。一方、アクリルやポリエステルなど化学繊維の毛布は、吸収発散性がないので、羽毛布団の内側に入れると布団の中が蒸れてしまいます。羽毛布団の上に掛けて、保温性を高めるようにしましょう。

寝具の正しいお手入れ方法って?

――私は、干したてのふかふかなお布団が好きなんですが、「寝具は干すと痛む」と聞いて…。実際はどうなんですか?

どの寝具も湿気は大敵なので、こまめに湿気を取り除くことが前提になりますが、素材によってお手入れ方法は違います。例えば、ウレタン素材の枕やマットレスは日に干すとウレタンが劣化する原因にもなりますし、羽毛布団も側生地(羽毛を包む布地)の傷みを防ぐため日に干す場合はカバーをつけましょう。

綿素材は天日干し、ウレタンは日陰干し、吸湿発散性に優れている羽毛布団は、月に1〜2回日陰干しで十分――。この基本を守りつつ、必ず「取り扱い表示」や注意書きに従ってお手入れしてくださいね。

そしてもう一つ気をつけてほしいのが、敷き寝具のお手入れ。マットレスや敷き布団は寝具の中で最も湿気を溜めやすく、お手入れを怠るとカビやダニが発生する原因になります。敷き布団は敷きっぱなしにせず、ベッドマットレスは立てかけたりなどして、湿気が溜まりやすい裏面に風をよく通しましょう。布団乾燥機や除湿シートを使うのもおすすめですよ。

――私は寝具のお手入れをいつも後回しにしていましたが、傷むのは避けたいです…。除湿のほかに、普段はどんなお手入れをしたらいいですか?

布団や枕を頻繁に洗うのは難しいので、汚さないためのお手入れが大事です。それには、枕カバーは毎日交換し、シーツも1週間に1度を目処に洗濯するのがおすすめです。

タオルケットなどの掛け物や枕は、素材によって洗えるものは洗い、洗えないものは風通しの良いところに干し、湿気を取ります。布団を干した後は、布団専用の掃除機をかけるとダニ防止になりますよ。

寝具がさっぱりと清潔であることも、快眠の大切な要素。毎晩気持ち良く眠るために、寝具のお手入れを習慣化してくださいね。

睡眠環境を究極のリラックス空間に!

――最後に速水さんの、睡眠環境へのこだわりや工夫をぜひ教えてください。

私は香りが好きなので、夜はラベンダーやオレンジスイートなど、リラックスできるアロマを焚いて眠りに就くようにしています。専用のディフューザーがない場合はティッシュやお湯を張ったマグカップに精油を垂らすだけでも、良い香りが広がります。手軽にできるので、寝室をよりリラックスした空間にするのにおすすめです。

あとは、パジャマに着替えて眠ることでしょうか。部屋着のまま寝る方も多いですが、パジャマなら体を締めつけず、寝返りも打ちやすいなど、部屋着で寝るよりもずっと寝心地がいいんです。それに、パジャマに着替えることで「眠るモード」に気持ちのスイッチが切り替わり、寝つきやすくなる効果もあるんですよ。

パジャマも寝具同様、汗をしっかり吸収してくれる天然素材がいいですね。シーズンを問わず着心地のいいコットン素材や、夏なら涼感のある麻素材のパジャマがおすすめですが、特に女性には肌に優しいシルクを使ったパジャマもおすすめ。シルクの肌触りの良さにはリラックス効果もあり、心地良い眠りに導いてくれますよ。

――お話を伺ってきて、睡眠環境に大切なのは、心にも体にも心地良いこと、そんな風に思えてきました。

今までお話してきたように睡眠環境にはいろいろな要素があります。ですが、それを無理に全部やろうと難しく考える必要はありません。一番は、自分がリラックスできるかどうか。最高の睡眠環境とは、自分が好きなもの、心地良いことを集めた究極のリラックス空間です。楽しみながら工夫を重ねて、良い眠りにつなげていってくださいね。

 

<第6回研究を終えて> 

これまで睡眠について学んできましたが、睡眠環境についてはまだまだ知識不足だったことに改めて気づかされました。

寝具のお手入れも衣替えも、自分の睡眠の質を少しずつでも上げるため、リラックスして取り組んで行きたいと思いました。小さな習慣を日々積み重ねて、快眠につなげていきます!

6回にわたってお届けしてきた「こちら、ぐっすり研究部」。これまで、「良い眠りとは?」「最高の睡眠を得るには?」をテーマに、さまざまな角度から睡眠について学んできました。

指南役のみなさんの言葉で特に印象的だったのが、「良い眠りは大切だけど、睡眠にプレッシャーを感じないこと」、そして「眠りを楽しむこと」。睡眠は“取らなければいけないもの”ではなく、“大切な明日を育んでくれるもの”だったんですね。睡眠との付き合い方を見直す、素敵なきっかけをもらいました。

では、毎日の暮らしがいっそう心地よくなることを願って…みなさんも、充実のスリーピングライフを!


お話を伺ったのは……

速水美智子/東京西川 スリープマスター

創業450年を超える東京西川・日本睡眠科学研究所認定のスリープマスター。スリープマスターとは、寝具の知識はもちろん、眠りのメカニズムや良い眠りのノウハウなど、睡眠に関する広い知識を有する人に付与される資格。社内では主に広報を担当しているほか、寝具選びのコンサルティング、快適な睡眠環境づくりのアドバイスを行う。


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