深い眠りへと誘い、すっきりと目覚める簡単呼吸法|おやすみ前の“のんびり”エクササイズ#2
講師 : 椎名 由紀さん
おやすみ前のひととき。テレビを観ながら、音楽を聴きながら過ごすちょっとした家時間を、もっとここちよく充実させたい!
そこでスタートしたのが、「おやすみ前の“のんびり”エクササイズ」です。毎日の夜時間を有効活用して体を整えたい、だけど頑張りすぎることなく、ゆる〜く気楽に続けられたら…。そんな欲張りな気持ちをかなえるエクササイズを、選りすぐってお届けします。
教えていただくのは、ヨガや呼吸法、フィットネスの先生たち。第2回の講師は、呼吸アドバイザーの椎名 由紀さんです。心地よい睡眠へと導く呼吸法を、3つのステップで教えていただきます。
腹式呼吸がラクに身につく、「和式トイレのストレッチ」
私が指導を行っている「ZEN呼吸法」は、深く長く息を吐く腹式呼吸が基本となります。腹式呼吸は、自律神経を調えて代謝をアップさせるおすすめの呼吸法ですが、実は、知らず知らずのうちに心身が緊張し、浅くて速い胸式呼吸になっている人がとっても多いんです。まずは腹式呼吸に慣れるためのストレッチから始めてみましょう。
イラストでお分かりの通り、まさに和式トイレのポーズです。この姿勢をすると上半身の力が抜けるため、意識せずとも腹式呼吸になりやすんですね。息を吸ったときに太ももにお腹があたっていれば、腹式呼吸ができている証拠。お腹まわりの筋肉が動いて、太ももに押されるため、内臓マッサージの効果も期待できます。ただ呼吸をするだけなのに、便秘が解消するほか、背中の筋肉を外側に広げる運動も兼ねています。広背筋をストレッチすることで、脇腹やウエストの引きしめ効果にもつながりますよ。
1. 両足を大きく並行に開いて、足裏をしっかりつけたまましゃがみます。
2. 背筋をのばし、上半身は力を抜いて、鼻から長めに息を吐きます。息を吸うときはお腹と太ももがぶつかることを意識して。余裕のある人はイラスト○部分に空気を入れて膨らませるように息を吸ってみましょう。
3. この姿勢のまま呼吸を繰り返します。目安は2〜3分ですが、足が疲れてきたところでストップしてもOKです。
“体のサイド”をひねってゆるめるストレッチ
次にご紹介するのは、緊張した体をほぐし、スムーズに腹式呼吸できるよう筋肉をゆるめるストレッチ。腰まわりの筋肉が鍛えられるので、腰痛改善にも役立ちますよ。
肋骨からウエスト周りの腸骨にかけて、体のサイドを伸ばすことが目的ですが、無理して伸ばそうとすると、かえって力が入ってしまって伸びません。息を吐くごとに、曲げたひざや肩が1ミリずつでも床に近づくように、力まず、無理せず行ってください。また、息を吸うときに胸が動くようなら、それは息の吸いすぎです。深く吐いて軽く吸うことを意識しましょう。
1. あお向けになり、右足のひざを曲げ、左手でひざ頭をおさえるようにして、体の左側に倒します。
2. 顔は右側に倒し、右肩を床に近づけて腕をまっすぐ伸ばします。
3. お腹を意識しながら、ゆっくりと鼻呼吸を5回行います。息を吐くときは、ひねっている右脇の肋骨と腸骨を引き離すイメージで。
※反対側も同様に行いましょう。
熟睡モードへと導く「ハケの呼吸」
普段、横向きで寝る人や、あお向けで寝てもよく眠れないという人は、緊張感を与える交感神経が優位に働く胸式呼吸で眠っているのかも。今回ご紹介している腹式呼吸は、副交感神経が優位になって心身をリラックスさせるため、スーッと深い眠りに入ることができます。
ポイントは、長く息を吐くこと。10秒ぐらいかけて吐くのが理想ですが、難しい場合は5秒でもOKです。吐きながらお腹がへこんでいくのを意識してください。吸うときは力いっぱい吸い込まず、自然に入ってくる息を受け取るくらいで。
ここで大切なのは、呼吸とイメージです。全身が温かいもので包まれているようなリラックスできるイメージを持つと、呼吸を丁寧に落ち着いて行えます。私は、とろとろの温かい薬草の液体をハケで全身に塗っている姿をイメージしながら、呼吸することをオススメしています。想像が呼吸にプラスαのイメージング効果をもたらしてくれます。そのまま眠りに入れるように、準備を整えてから行ってくださいね。
2. 下腹部を意識しながら鼻から細く、長く息を吐きます。このとき、自分が好きな香りのする温かくとろみのある液体を塗った大きなハケで、頭の先から足先まで身体の表面をなぞっていくようイメージして。
3. 息を吸うときは、足先から首に向かって背面をなぞり、液体が体に浸透するようイメージしましょう。
<椎名先生からアドバイス>
「息」づらい呼吸を調えて、「生き」やすい毎日へ!
私のレッスンには睡眠障害で悩む方が多くいらっしゃいますが、この呼吸法を行うと、そのままグッスリ眠ってしまう生徒さんも少なくありません。続けていくうちに、肩こりや腰痛、頭痛などさまざまな不調が改善されたという方がたくさん! みなさんも1〜2週間続ければ、何かしら変化を感じられると思います。生きていれば、誰もが自然にしている呼吸。「息」は「生き」る土台です。お休み前のほんの5分、自分の呼吸に意識を向けて、元気を手に入れましょう。
<#2を終えて...>
「本当にこれだけでいいの?」と拍子抜けするほどシンプルなエクササイズですね。実際に挑戦してみると、いつの間にか息を止めていたり、息を吸い過ぎて胸が動いてしまったり…なかなか呼吸法は奥が深いと感じました。でも、慣れてくると心も穏やかになって、自然にまぶたが下がっていくことを実感しました。
第3回は、パーソナルトレーナーの坂井雪乃先生にご登場いただき、マイペースに続けていける簡単フィットネスを教えていただきます。