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“なんとなく”で受けてない?改めて知りたい、乳がん検診のこと|なんでも相談室「今日はどうされましたか?」#15

スキンケアに関する疑問から、カラダのお悩み、生活習慣のことまで、みなさんが気になることならなんでもOKの相談室。毎回、1つの悩みをテーマとして取り上げ、お答えしていきます。

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お悩みにお答えするのは…
相談員 嶋本 裕

「品川ブレストクリニック」院長。医学博士。超音波(エコー)、マンモグラフィ、乳腺MRIを用いて正確な確定診断を行う乳腺画像診断の専門医。クリニックでは3Dマンモグラフィ、MRIなど最新の医療機器を備えている。

助手 清水 尚美

元美容メディア編集者。オルビス入社後はアプリコンテンツの制作を担当。25歳の頃から毎年検診を受けているものの、エコーしか受けたことがない状態。“なんとなく”で検診を続けたり、セルフチェックをしたりしている状態を脱却したい!


本日のお悩み

乳がん検診、どんな検査を受けるのがいいの?

毎年の健康診断に含まれる乳がん検診で、超音波検査をなんとなく受けています。マンモグラフィにも興味はあるけれど、痛いと聞くし…。実際、どっちがいいのでしょうか? ちゃんと理解して、検査を受けたいです!

女性の9人に1人が患う、と言われる乳がん。超音波検査、マンモグラフィ、それぞれの特性に合わせて検査を

写真:嶋本
嶋本
20年前は20人に1人と言われていましたが、今では9人に1人が乳がんを患うと言われています。要因は食生活の欧米化、長寿、出産時期が遅い、または出産経験のない方が増えていることなどが指摘されていますが、きちんとした理由は分かっていないんです。

写真:清水
清水
やっぱり検診で定期的にチェックしておきたいですね…。一般的な健康診断だと乳がん検診は40歳以上が対象ですが、この年齢からリスクが上がるということですか?

写真:嶋本
嶋本
統計的には、9割の乳がん患者さんは40歳以上。40代と60代に発症のピークが見られます。ただ、少数ではあるものの、20代・30代で発症する方もいらっしゃいます。

写真:清水
清水
いっそ20代から乳がん検診を受け始めた方がいいですか…?

写真:嶋本
嶋本
心配なら受けてもいいと思いますが、20代の頃は気軽に受けられる超音波がいいと思います。30代に入ったら超音波に加え、乳房を板で圧迫し、薄く伸ばした状態でX線撮影を行うマンモグラフィを30〜34歳の間に1回、35〜39歳の間に1回、追加して受けるのがおすすめですね。

\嶋本先生おすすめ・年代別の検査法/

20代 超音波検査/年に1回

30代 超音波検査/年に1回+マンモグラフィ検査/30代前半と後半に1回ずつ

40代以降 超音波検査/年に1回+マンモグラフィ検査/2年に1回以上

写真:清水
清水
年代で検査を変えたり、併用したりする方がいいのはなぜでしょうか?

写真:嶋本
嶋本
それぞれの検査には特徴があり、超音波は“しこり”、マンモグラフィは“乳がんのサイン”を見つける検査になります。全く異なったアプローチで乳がんを早期発見することを目的としていますが、それぞれの検査には不得意な面もあります。特にマンモグラフィでは、デンスブレストという状態だと病変が見つけにくいという問題があるんです。これを補うためには超音波が有効であると言われています。

多くの日本人女性に見られる、“デンスブレスト(高濃度乳房)”

写真:嶋本
嶋本
マンモグラフィを撮影すると、乳腺組織は白く、脂肪は黒く写ります。デンスブレストは乳腺が多い状態のことで、全体的に白が強く写し出されます。乳がんは乳腺組織から発生しますが、しこりを形成した乳がんも白く写ってしまうんです。このためデンスブレストの場合はがんが見えづらい可能性があります。乳腺組織の量には人種・年齢などにより個人差があると言われており、アジア人女性は特にデンスブレストの方が多いと言われています。

写真:清水
清水
「極めて高濃度乳腺」の方だと、お胸が真っ白に見えますね!

写真:嶋本
嶋本
そうなんです。それの何が問題かというと、マンモグラフィが見つける“しこり”も白く映ること。つまり、デンスブレストに紛れて、“しこり”が判別しづらい懸念があるんです。

写真:清水
清水
そんな…。

写真:嶋本
嶋本
さらに、日本人女性はデンスブレストの方が多く、若年者であるほど乳腺量の組織が多い傾向にあります。ですから、乳がんが決して多くなく、乳腺組織の多い20代でマンモグラフィを受ける必要はあまり感じません。一方で、超音波だと“しこり”は黒く映り、見つけやすい。

写真:清水
清水
なるほど。それならずっと超音波で検査するだけじゃだめなんですか…?

写真:嶋本
嶋本
超音波は“しこり”を見つけることができますが、しこりを形成しない乳がんも存在します。その唯一のサインをマンモグラフィで見つけられる可能性もあるため、乳がんが多い年代になったらマンモグラフィの併用も勧めているんです。

写真:嶋本
嶋本
マンモグラフィでは主にカルシウムの沈着で生じる“石灰化”を見つけることができます。大多数の石灰化は生理現象で生じる良性のものですが、中には乳がんが原因で生じるものも。また、乳腺構築の歪み(構築の乱れ)などを見つけるのはマンモグラフィが得意とするところ。これらが唯一のサインとなって、乳がんが発見されることもあります。このため、乳がんのリスクが上がり始める頃からは、超音波とマンモグラフィを併用するのがいいでしょう。

注目のMRI検査。コレさえ受ければマンモは受けなくていいってホント?

写真:清水
清水
最近ではMRIで乳がんの検査を行うところもあると聞きました。マンモグラフィはかなり痛いと聞いているので、マンモの代わりにMRI、はアリだったりしますか?

写真:嶋本
嶋本
残念ながら…。マンモが嫌でMRIを希望される方が結構いらっしゃるのですが、MRIだけを受ければ十分という訳ではありません。また、正しく検査するための大前提として、造影剤というお薬を静脈から注射する必要があります。

写真:清水
清水
全く痛くない検査ではない、と…。

写真:嶋本
嶋本
そうなんです。それに、乳腺MRIは“血の巡り”を見る検査。乳がんは大きくなるために血管を作り出す動きをしますから、例えば、石灰化があるところに血液の異常な集まりがあるかどうかは、その石灰化が良性か悪性かを知る大切な要素になります。造影剤を注射しない乳腺MRIもありますが、それは無意味と言われています。

写真:清水
清水
マンモグラフィで得た結果をさらに裏付けるような検査、ということですね。

写真:嶋本
嶋本
そうですね。最終的な確定検査は細胞の一部を切り取る生検が必要ですが、その生検をするかどうかの判断として、乳腺MRIを使うことが多いですね。

検診もセルフチェックも、“生理後”がベストタイミング

写真:嶋本
嶋本
マンモグラフィが痛くて嫌という方は、検査を受ける時期を“生理後”にするのがいいでしょう。生理前だと、血の巡りも乳腺の張りも増すので余計に痛みを感じる傾向にあると思います。

写真:清水
清水
お胸を板で圧迫して、薄く伸ばした状態で検査しますもんね…。なるべく張りの少ない時に受けたいです!

写真:清水
清水
生理のタイミングは、セルフチェックをする時も気にした方がいいですか?

写真:嶋本
嶋本
そうですね。自己触診も同じく生理後に毎月1回、行うのがおすすめです。乳腺の張りが増す生理前だと、“しこり”かどうかの判断がつきにくくなります。また、横になった方が重力で乳腺が下がり、“しこり”に触れやすいと思いますよ。

写真:嶋本
嶋本
自己触診は、ボディクリームなどを使って、「の」の字を書くようにお胸全体を触るのがポイント。それから乳頭部分をつまみ、赤やピンク、茶色など血液を連想するような色の分泌物が出ないかを確認してください。

写真:清水
清水
そんな簡単にチェックできるんですね! もっと大変だろうと思っていました。分泌物については、乳頭が傷ついていないのに血液の混じったものが出たら要注意、ですね。

写真:嶋本
嶋本
はい。その場合はすぐに乳腺クリニックを受診してほしいです。また、生まれつきでもないのに突然、乳頭が陥没した場合やお胸の皮膚の一部がひきつれている場合も、すぐに受診をおすすめします。

写真:清水
清水
毎月のセルフチェックと毎年の乳がん検診で、些細な変化を見逃さないようにしたいです…!お気に入りのクリームでマッサージしながら、セルフチェックを続けたいと思います。

\清水のおすすめ/

独特のふわとろなスフレ質感で指がスムーズにすべり、マッサージしやすいのが◎。お胸のセルフチェックついでに、腕からデコルテまでもしっかりほぐし&保湿して、うるすべ肌に!(清水)

セルフチェックのついでに、お胸とデコルテもお手入れを!

 

本日の学び

乳がんに罹患した知人がいるので、早期発見の大切さは感じているつもりでしたが、検診についての理解はまだまだだったなと実感。年代ごとに、受ける検査の種類と頻度のイメージがつき、乳がん検診のロードマップができたような気がします。セルフチェックも月1でOK&意外と簡単なので、保湿を兼ねたバストケアにプラスしていきたいです!(清水)

監修/嶋本 裕(品川ブレストクリニック
編集/間野加菜代(Cumu)
イラスト/itoaya

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