頭は痛いし、体もだるい!これって梅雨のせい?|なんでも相談室「今日はどうされましたか?」#11
スキンケアに関する疑問から、カラダのお悩み、生活習慣のことまで、みなさんが気になることならなんでもOKの相談室。毎回、1つの悩みをテーマとして取り上げ、お答えしていきます。
- 助手 清水 尚美
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元美容メディア編集者。オルビス入社後はアプリコンテンツの制作を担当。雨の日や気圧の低い日は特に「ムムム…。来るな!?」と察知。その後、頭痛や倦怠感、めまいなどの不調を感じることがしばしば。
本日のお悩み
雨の日が続くと、頭痛と倦怠感でぐったり。梅雨を乗り切れる気がしません。
天気が崩れる前日から頭痛がし始め、倦怠感、食欲不振と、天気と連動するように私の体調も悪くなりがちです。天気に振り回されっぱなしの日々をどうにかしたい…!
頭痛、めまい、倦怠感…。どれも天気のせい?
清水私も雨の日は頭痛がしたり、体がだるかったりしますね…。体の調子に天気が影響を及ぼす「気象病・天気痛」には、他にどんな症状があるのでしょうか。
佐藤頭痛、めまい、関節痛、食欲不振、耳鳴り…。本当にいろいろですよ。
\この症状、全部「気象病・天気痛」かも?/
□ 頭痛
□ めまい
□ 倦怠感
□ 関節痛
□ 耳鳴り
□ 食欲がわかない
□ 胃痛、胃もたれ
□ 下痢
□ 気分の落ち込み
□ 疲労感
清水頭、お腹、心の状態にまで…! こんなにいろんな症状があるのはなぜですか?
佐藤まず、広く症状が出る全身性の疾患が天気の影響を受けやすい、という理由が考えられます。例えば、気象病・天気痛になりやすい病気の代表に偏頭痛がありますが、偏頭痛って頭が痛いだけじゃなく、めまい、倦怠感、耳鳴りなど症状が多岐に渡るんです。
清水なるほど。天気が不調の直接的な原因というよりは、偏頭痛などが天気によって悪化して、全身にいろんな症状が出るというパターンがあるんですね。
佐藤私が診ている患者さんの平均年齢は39歳ぐらいですが、下は5歳、上は90歳の方まで、本当に広い世代が天気の影響を受けやすい偏頭痛で受診されていますよ。
清水そんな小さなお子様まで…!
佐藤お子さんとの治療には、私と交換日記をするような感覚で日記をつけてもらうことも(笑)。どんな天気の時に具合が悪くなったのかを知ることは、治療の最初のステップなんです。
気象病・天気痛を理解するヒントは“耳の中”
清水「偏頭痛持ちじゃないけれど、天気が悪いと体調が悪い」という方の場合は、どういった背景、メカニズムがあるのでしょうか。
佐藤メカニズムを理解するヒントは“耳”にあると考えています。「天気により体調が変化すると自覚している人たち」と「天気の影響は受けないと思っている慢性痛の人たち」、そして「健康だと思っている人たち」の3グループで比較検討を行ったのですが…。
清水耳に何か違いがあったんですか!?
佐藤「天気により体調が変化すると自覚している人たち」は他のグループと比べて、内耳がより敏感だったんです。
清水内耳が敏感…!? それって、どういうことなんでしょうか?
佐藤まず、内耳の構造から解説しますね。内耳は耳の最深部にあります。平衡感覚を司どる三半規管や前庭などがあり、脳や自律神経と密接に関わっています。さらに私が行った別の研究からは、気圧の変化を感じ取るセンサーが内耳にあることがわかったんです。
清水つまり、「内耳が敏感」=「内耳にある気圧の変化を感じ取るセンサーが敏感」ということ…?
佐藤その通り。内耳にあるセンサーが敏感なゆえに、気圧の微妙な波や変化を察知して、反応することで脳や自律神経に影響が及ぶ、ということが推測されます。
清水自律神経は内臓の働きもコントロールしていますし、乱れるといろんな症状が出ると聞いています。倦怠感、頭痛、不眠…、まさに全身に影響が出ますね…。
佐藤そうなんです。さらに女性の場合、生理周期により自律神経が振れやすい傾向にある。そこに気圧の変化も重なると、自律神経が疲弊し、気象病・天気痛の症状が悪化する可能性が高いと思いますね。現に、私の患者さんは女性の方が多い印象です。
耳マッサージと自律神経ケアで梅雨を乗り切る
清水梅雨と生理が重なった時のことを思うと、今からもう気分がどんよりします…。何か自分でできることがあれば、教えてください!
佐藤これも“耳”が一つのカギ。耳の血流、リンパ液の流れが滞ると内耳のセンサーがより敏感になり、気圧の変化の影響を受けやすくなってしまいます。マッサージで血流、リンパ液の流れを促すようにしましょう。
\佐藤先生おすすめ!くるくる耳マッサージ/
②両耳のふちをつまみ、前から後ろに向かって大きな円を描くように回す。
③両耳を折り曲げ、その状態を5秒ほどキープする。
④手のひらで耳全体を覆い、そのまま円を描くようにゆっくりと回す。
佐藤1日1回、全身の巡りが良くなる入浴中やお風呂上がりに行うといいですね。あとは、自律神経が乱れないような生活を心がけること。
清水十分な睡眠と入浴、バランスの取れた食事、運動…。こういう基本的なことって、気象病・天気痛のケアにも重要なんですね。もし、雨の日にどうしても頭痛などの痛みが辛い場合、いわゆる気象病だと思ってお薬を飲んでもよいものですか?
佐藤もちろん我慢せずに、頭痛薬や痛み止めを飲んでもらっていいと思います。ただ、薬は飲みすぎないようにして、代わりに日頃からできることをコツコツやれるといいですね。梅雨の時期は気圧の他に、湿気で体がむくむ、寝苦しいなど、そもそも体の調子が狂いやすい季節ですから。
清水寝不足は自律神経のバランスを崩す要因になると聞いたことがあります。
佐藤そうですね。さらに湿気による体のむくみも気をつけたいところ。特に耳のリンパ液の滞りは内耳のセンサーを敏感にしてしまう可能性もあります。
清水むくみをコントロールすることもポイントですね。ちなみに先生、偏頭痛などの慢性痛が天気の影響を受けているのか、内耳のセンサーが敏感で体調が天気の影響を受けているのか、見分ける方法っていうのはありますか?
佐藤ううむ…。気象病・天気痛はそもそもまだ分かっていない部分も多いんです。個人差もあります。言い換えると、自分独特のタイミングがあるはずなので、日記をつけたり、「天気痛予報」を活用したりして、丁寧に見ていくことだと思いますね。
本日の学び
気象病・天気痛と思われる症状に悩まされ、痛み止めのお世話になり続けてきた私。ですが、実は1年ほど前からお薬を飲む量が少しずつ減ってきた実感が…!何をしたかというと、定期的な運動や食生活など、生活習慣の見直し。やはり人間は自律神経を整えることが大事なんだな〜と感じます!(清水)
監修/佐藤 純
編集/間野加菜代(Cumu)
イラスト/itoaya
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