早めに受けておくべき婦人科検診は?知っておきたい婦人科のこと|産婦人科医に聞きました【後編】
年齢を重ねていくことで変化する女性ならではのカラダや心の悩み。少しでも「心がふっと軽くなるような瞬間を生み出したい」。そんな思いで、産婦人科医を招いて生理や婦人科に関する情報をお届けするイベントをオルビス主催で開催しました。今回は、イベント内容の一部を特別に公開いたします!
後編のテーマは、早めに受けておくべき婦人科検診について。婦人科検診って何をするの?ピルを飲んでいると妊娠しやすくなる?など、「知っておきたい婦人科の疑問」を産婦人科医に聞いてみました。
本日の登壇者は…
早めに受けておきたい検査や婦人科のこと
高寺私、一応毎年会社の健康診断は受けているんですが、30代前半なので年齢的にもそろそろしっかり受けておいた方がいい検査もあるのかな…と気になっていて。今の年齢から受けておくべきものはありますでしょうか?
\早めに受けておくべき婦人科検診/ ・子宮頸がん検診
飯田先生以下の2つはぜひ受けていただきたいです。
・乳がん検診
米谷2つとも会社の健康診断で受けるけど、それぞれのがんの特徴や検診の内容については分かっていないな…。先生、詳しくお聞きできますでしょうか?
子宮頸がんとは?
飯田先生子宮頸がんは、性交渉によりヒトパピローマウイルスに感染することで起こります。早期発見が有効なので、人生で一度でも性交渉経験があれば、検査を受けることをおすすめします。
米谷経験があっても相手が1人だけ、現在結婚していてパートナーが1人だけという場合でも検査は必要でしょうか?
飯田先生必要です。人数や回数に関係なく、1回でも経験があればウイルスに感染する可能性があります。
高寺なるほど。親族にがん経験者がいないから、ピルを飲んでいるから、という感じで安心してはいけないんですね。検査は具体的にどのようなことをするのでしょうか?
飯田先生子宮頸がん検診は、がんのできやすい箇所の細胞をとって確認する細胞診、医師が実際に触ってみて確認する内診が中心です。オプションでエコー検査が受けられる場合は追加することをおすすめします。触るだけでは分からない子宮・卵巣の状態がしっかり把握できるので、子宮や卵巣の病気の早期発見にもつながりますよ。
乳がんとは?
高寺乳がんの特徴はどのようなものなのでしょうか?
飯田先生乳がんの場合は子宮頸がんとは違って、ウイルス感染が原因ではありません。「これがなければ大丈夫」といったことはなく、どなたでもかかる可能性のあるがんです。40代になると特に気をつけたい病気の1つなので、無症状のうちから検査を受けておくことが重要です。
米谷乳がんの検査も、エコーとマンモグラフィーの2種類ありますよね。どちらがおすすめといったことはありますか?
飯田先生マンモグラフィーに比べ痛みが少ないエコーは、状況によってはがん発見が難しい場合もあるといわれていますが、痛いのが怖くて検査を受けるのが億劫という方などはエコーから始めてみてもいいかもしれません。どちらの検査方法でもいいのでしっかり検査を受けることが大切です。
米谷今年の健康診断はしっかり理解したうえで受けられそうです!ちなみに、検査の頻度は年に1回で十分と考えてもよいでしょうか?
飯田先生明確に断言することは難しいですが、基本的には1~2年に1回の検査をしっかり受けるという考えで大丈夫。ただ、体調に変化があったり、セルフチェックでしこりを見つけたりなど、おかしいと思ったらすぐに受診しましょう。
【皆様からの質問コーナー】ピルと妊活の関係って?疑問に産婦人科医が回答!
Q.「ピルは子宮がんの予防につながる」と聞いたことがあるのですが、本当でしょうか?
飯田先生卵巣がん、子宮がんについては、排卵を抑制することで体の負担を減らし、がんのリスクを下げることができると分かっています。またピルを飲んでいると子宮内膜症になりにくくなるといわれています。
Q.ピルを飲むと妊活に備えられますか?ピルと妊娠の関係を教えてください。
飯田先生ピルは「今の不調と向き合うための治療の選択肢」なので、ピルを飲むと妊娠しやすい体質になれるということはありません。ただ、不妊の原因となる子宮内膜症になりにくくなるので、「不妊の原因を作りにくくする」とは考えられるかもしれません。
ちなみにピルを服用すると不妊になるということもなく、服用を止めれば妊娠可能な状態に体を戻せます。
心地よく過ごすために、婦人科を味方につける
高寺先生、今日はありがとうございました!
米谷お話を伺えて、「これでいいのかな…」と不安に思いつつもやり過ごしていたピルや検査のことなど、詳しく伺うことができて気持ちが楽になりました。
飯田先生女性って、自分の体調や生理のことについて我慢が当たり前と思い込んでいる方も多いですよね。ですが、日々を心地よく過ごしていくため、また自己実現していくためにも、体調を整えることはとても大切です。その手段の1つとしてぜひ婦人科を味方につけてください。
些細なことでも大丈夫。みなさんが自分らしい人生を歩んでいけるよう、私たちも一緒に考えていけたらと思いますので、悩みがあったら気軽に受診してくださいね。
みなさま、いかがだったでしょうか?
日常で感じている生理や婦人科に対する不安やお悩みが、この記事を通じて少しでも解消していたら嬉しいです。
前編では、人によって異なるPMSの症状や生理の状況、婦人科を受診する目安など生理に関する疑問を産婦人科医に聞いてみました。まだご覧になっていない方は、こちらもぜひチェックしてみてください。
- \前編はこちら!/
監修/飯田美穂
イラスト/二階堂ちはる