これってPMS?ピルって?婦人科受診の目安は?|産婦人科医に聞きました【前編】
年齢を重ねていくことで変化する女性ならではのカラダや心の悩み。少しでも「心がふっと軽くなるような瞬間を生み出したい」。そんな思いで、産婦人科医を招いて生理や婦人科に関する情報をお届けするイベントをオルビス主催で開催しました。今回は、イベント内容の一部を特別に公開いたします!
生理前になると、イライラしたり泣きたくなったり…。前編では、人によって異なるPMSの症状や生理の状況、婦人科を受診する目安など、読者の皆様から募集した疑問を産婦人科医に聞いてみました。
本日の登壇者は…
これってPMS?受診の目安や仕方は?ちょっと気になる生理のこと
米谷生理前になると体がだるくなったり頭痛がしたり、気分的にも沈みがちになっちゃうんだよね。あいちゃんは何か悩みはある?
高寺私は生理1週間前くらいから体がむくんだり、食欲旺盛になったり(笑)。でもどこまでが気分の問題で、どこからがPMSにあたるのか、自分でもよく分からなくて…。
\それ、PMSかも!生理前によくある症状/
・体がむくむ
・腹痛、吐き気がする
・めまいがする
・イライラする
・不安になる
・泣いてしまう
・眠い、ぼーっとする
・のぼせてしまう
米谷飯田先生、これらの症状はすべてPMSと呼べるのでしょうか?
飯田先生はい。PMSは生理前に3~10日ほど続く心身の症状のことで、「生理前は気になるけど生理が始まったら楽になる」というのが3周期続けば、PMSの可能性が高いです。
米谷PMSや生理痛は頑張れば耐えられるものも多いと思うのですが、病院を受診する目安やタイミングはありますか?
飯田先生ご自身で少しでもつらいと感じたら、ぜひ受診を。生理中でも大丈夫ですよ。そして診察では生活にどのくらい支障が出ているのか、ご自身が感じていることを教えてほしいです。
高寺日頃感じている悩みを相談する感覚でいいんですね!
飯田先生そうそう。「それくらいだったら治療しない」という話ではないので、まずは相談してみてください。生理の状況を聞いていく中で月経困難症という診断になれば、ピルの処方など個人に合った治療をしていくことができます。
米谷ちなみに、痛み止めを飲みすぎると効かなくなるって噂は本当でしょうか?
飯田先生そんなことはありません!生理痛が重くてつらいなら、薬に頼っても大丈夫。ただし、薬を飲むほど重い生理痛が数日続く、薬を飲んでいるのに痛みが緩和されないといった場合は受診しましょう。
生理が軽くなる?リスクは?ピルについての正しい情報
米谷実は私は数年前からピルを飲んでいて、生理が軽くなったり体調が安定したりしました。ただ「ピルってどういうもの?」って聞かれても、答えられる自信はないです…(笑)。
高寺私は興味はあるけどよく分からなくて、怖くて踏み出せない感じですね。アンケートでも、過半数の人が「よく分からない」と回答していました。
高寺飯田先生、改めてピルについて教えていただけますでしょうか?
飯田先生ピルは女性ホルモンが含まれたお薬で、服用すると体が「自分で女性ホルモンを出さなくてもよい」と判断し、排卵が止まります。生理や生理痛が軽くなったり、人によっては肌荒れが改善したりといったメリットがあります。
高寺一方で血栓ができる、太るといった噂も聞いたことがあるのですが、実際どのようなリスクがあるのでしょうか?
飯田先生血栓のリスクは確かに上がります。ただ大幅に上昇するわけではなく、ピルを飲んでいない人の血栓リスクが年間1万人に1~5人だとしたら、ピル服用者は3~9人。出産直後の女性は1万人に40~50人の血栓リスクがあると言われており、それよりははるかに低い数字です。また太るというのは医学的に否定されています。
米谷太るというのは根拠がないんですね!
飯田先生あと勘違いしやすいのは、ピルは生理不順を治療するものではないということ。生理の時期をコントロールしているだけで、「正常な生理のある体質に改善された」わけではありません。
ピルを処方してもらえる基準って?オンライン処方ってどうなの?
飯田先生ピルは保険適用と自費診療での処方があり、最近はオンライン診療を行っている医師もいますよ。
高寺スマホで質問に答えたらピルを家に送ってもらえる、サブスクのようなものもありますよね。
飯田先生サブスク型は便利ですが、ピル以外の選択肢の方が適しているのに提案してもらえない、血栓症などの重大な副作用に適切に対応してもらえない可能性もあります。そのため、やはり一度病院で相談して、飲み始めてからも数ヶ月に一度は医師に経過を見てもらうと安心です。
「女性ヘルスケア専門医」って?婦人科探しのポイント
米谷数ヶ月に一度って頻度が高いと思うのですが、担当医と相性が合わないと思ったら別の病院を受診してもいいのでしょうか?
飯田先生もちろんです!不安が解消されない、相性が合わないと思ったら、気軽に他の病院に行ってOK。「女性ヘルスケア専門医」という資格を持っている医師を探すのもおすすめですよ。
米谷なるほど!「女性ヘルスケア専門医」という一つの指標があるのは安心しますね!
高寺相性があるから我慢しなくていい、というのも目からうろこです。
飯田先生受診して「こんなに楽になるんだ!」と思える病院に出会えたらベストです。
【皆様からの質問コーナー】これって大丈夫?生理のお悩みに産婦人科医が回答!
Q.今まで順調だった生理が突然止まったら、どのくらいの期間を目安に受診するべき?
飯田先生生理が突然止まってしまった場合、目安として「3ヶ月」生理が来なかったら必ず病院に行きましょう。もちろん3ヶ月以内でも異常と感じた場合は待たずに受診しましょう。
Q.20代の頃と経血の色・量が変わりました。何かの前兆でしょうか?
飯田先生一般的には、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気がなければ年齢を重ねるとともに生理痛は軽くなると言われています。しかし、経血量についてはあまりデータがありません。ご自身の経血量が変わった、経血量が多い気がすると不安を感じているなら、受診して大丈夫ですよ。ちなみに塊が出る場合は経血量が多いというサインの可能性もあります。悩んだら、まず医師に相談しましょう。
みなさま、いかがだったでしょうか?
生理のお悩みは人それぞれだからこそ、つらいと感じたら我慢せず、婦人科へ相談してみましょう。
後編のテーマは、早めに受けておくべき婦人科検診について。婦人科検診って何をするの?ピルを飲んでいると妊娠しやすくなる?など、「知っておきたい婦人科の疑問」を産婦人科医に聞いてみました。こちらもぜひチェックしてみてください。
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監修/飯田美穂
イラスト/二階堂ちはる